職場で活かせるアドラー心理学

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現在テレビドラマ化され、注目を集めている「アドラー心理学」をご存知でしょうか。
その火付け役となったのが、100万部を突破するベストセラー書籍『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)です。

同僚や上司とうまくいかない
仕事で大失敗した
部下の指導で悩んでいる
職場の人間関係がつらい
仕事がつまらない

など、仕事をする上で様々な悩みや葛藤は付きものですよね。
厚生労働省の調査によると、強い不安、悩み、ストレスがある労働者は、平成9年以降の20年間、ほぼ6割前後で推移しています。(労働者健康状況調査)
ストレスを感じ、仕事へのモチベーションが下がったり、なんとなく日々を笑顔で楽しく過ごせていないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、働く人々に役立つ「アドラー心理学」の考え方をいくつかご紹介したいと思います。

課題の分離

あらゆる人間関係のトラブルは、「他者の課題に土足で踏み込むこと」、あるいは「自分の課題に土足で踏み込まれること」によって引き起こされます。
課題の分離とは「自分にコントロール可能なこと(自分の課題)」と「自分にはコントロール不可能なこと(他者の課題)」を明確に分ける技術です。
誰の課題かを見分ける方法は、「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考えることです。

【例:仕事をしない同僚がいて困っている】
______これは誰の課題でしょうか?
「仕事をしない」ことで職場に居づらくなったり、充実した職業人生を送れなくなるのは、その同僚自身です。
周囲の人や上司は、その行動を見守り、それが自身の課題であることを伝え、仕事が円滑に進むよう指導や管理をする必要がありますが、最終的にどのように行動を起こすかは「他者の課題」ということになります。

イギリスのことわざにもありますが、「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない」のです。
自分の課題に真剣に向き合い、他人の課題には一切踏み込まない。このような課題の分離ができると、人生は驚くほどシンプルになります。

承認欲求はいらない

賞罰教育(適切な行動をとると褒められる、不適切な行動をとると罰せられる)の影響により、私たちは他者から承認されたいという欲求が強くあります。
しかし、アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定します。
理由は、「褒めてくれる人がいなければ適切な行動をとらない」「罰する人がいなければ不適切な行動もとる」という危険性をはらんでいるためです。
私たちは他者の期待を満たすために生きているのではありませんし、他者もまた、こちらの期待を満たすために生きているのではありません。
前述の「課題の分離」にもつながりますが、他者がどのような評価を下すのかは、他者の課題であって、自分の課題ではないのです。

目的論

アドラー心理学では、人の行動には原因があるのではなく、必ず目的があると考えます。
「全ての感情や行動は、ある目的を達成するために生み出される」という理論です。

【例:過去のトラウマから人前で話すのが苦手である】
原因論「自分の経験や性格上、人前で話すのがこわい」
目的論「人前で話すことを避けるために、トラウマを持ち出している」

つまり、目的論の考え方では、「人前で話したくないという目的」が先に存在しており、その目的を果たすために過去の出来事を後付けしているということになります。
こうした原因論の考え方をアドラーは「人生の嘘」と呼んでいます。
これまでの人生に何があったとしても、今後の人生をどう生きるかについてはまったく関係がないのです。
過去に起こった事実を変えることはできませんが、その出来事に″どのような意味づけをほどこすか″は自由なのです。

すべての悩みは、対人関係の悩み

アドラーは、『すべての悩みは、対人関係の悩みである』と言い切っています。
そんな悩みを抱える私たちに、アドラーが示した答えの一つは、「嫌われる勇気を持つ」ということです。
どんなに正しい行いをしようとも、100人いれば1人2人悪く言う人はいるものですが、人から嫌われるということは、自分自身が自由に生きていることの証でもあります。
すべての人に好かれようとして他者からの承認を求め、他者の評価ばかり気にしていると、最終的には「他者の人生を生きること」になってしまいます。
そうした人生は偽りの自分を演じることになるので全く自由ではありません。

アドラー心理学の考え方は、当初から賛否両論あったそうですが、現代の働く人々にとって、少し前向きに楽しく人生を生きられるヒントになるかもしれません。
特に、対人関係で悩みやすいという方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

≪アドラー心理学とは≫
創始者は、アルフレッド・アドラー(1870~1937年)。
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家で、ジークムント・フロイトおよびカール・グスタフ・ユングと並んで、現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人である。

高橋 さなえ

高橋 さなえ株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

会社員時代に産業保健に興味を持ち、保健師になりました。
企業勤めの経験を活かし、はたらく人にとって身近なテーマを発信させていただきます!

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