大人もご注意! 成人はしか(麻疹)増加中

※こちらの記事は2016年9月3日公開のものです。
「東京五輪前に知っておきたい「麻疹」 ~知識と対策~」(2018年4月27日公開)も合わせてご覧ください。

麻疹に感染していた男性が千葉市で開かれた大規模コンサートに参加していたなどとして、厚生労働省は2016年8月、新たな感染者を見逃さないよう医療機関に注意を呼びかけることを都道府県などに要請しました。
麻疹は毎年、春から初夏にかけて流行がみられますが、空気感染(飛沫・接触感染も)する麻疹ウイルスは強い伝染力をもち、免疫のない人が感染するとほぼ100%発病するため、急遽このような措置がとられたのでしょう。

麻疹の症状

潜伏期間:10日間~12日間
症状:38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠感、上気道炎症状(咳、鼻汁、くしゃみ等感冒症状)、結膜炎症状が現れ、次第に増強します。
耳後部、頚部、前額部より発疹が出現し、顔面、体幹部、上腕に及び、四肢末端にまで広がります。
発疹が全身に広がるまで、発熱(39.5℃以上)が3~4日間続きます。
合併症がなければ、7~10日間で回復します。
好発年齢は1歳代が最も多く、次いで6〜11カ月、2歳の順ですが、近年、成人麻疹の増加が問題となっており、10〜20代での発症も多く報告されています。

麻疹の免疫

免疫のない人が感染すると、ほぼ100%発病しますが、逆にいえば、免疫があれば発病しない可能性もあります。
乳幼児期に予防接種を一度受けると、ほとんどの人(95~98%)が免疫を獲得します。
ただ、なかには免疫ができない場合があり、流行すると発症することがあります。
また、昔にくらべて麻疹大流行の機会が減り、免疫を獲得した後に麻疹感染者に接触する機会が減りました。
そのような環境のなかで、免疫力が徐々に低下していき、10年ほど経過すると、流行時には感染してしまうことがあります。
これを「修飾麻疹」といいます。
体には不完全な免疫が残っているため、感染を受けても典型的でない症状となり、比較的軽い症状で経過します。
そのため、風邪や風疹・じんましんなどと診断されてしまうこともあります。

補助金

2012~2013年にかけて、成人の麻疹予防接種(麻疹風疹混合ワクチン)に対して補助金を出した自治体が多くありました。
抗体の数値は、採血でわかります。
ただ、費用がかかるため、医療機関によっては、調べるならば念のために予防接種を推奨するところもあります。
この機会に、麻疹対策しておきましょう。

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中山 真樹株式会社ドクタートラスト 産業保健師

投稿者プロフィール

看護師として病棟勤務を経て、現在は企業様を対象に保健師業務を行っております。企業の健康管理室に出向していた経験、また、現在訪問企業で実施している業務からヒントを得て、皆様が知りたいことをお届けしたいと思います。
【保有資格】看護師、保健師、第一種衛生管理者、養護教諭一種
【ドクタートラストの保健師サービスへのお問い合わせはこちら】
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