産業医制度は現場の実情に則しているか?

労働安全衛生法の歴史

産業医の選任は昭和47年に施行された労働安全衛生法で義務づけられています。
その後、労働者の安全を守ることを強化することや産業医の業務の明確化等、何度が改正されています。

●主な改正点
昭和63年 産業医の職務として健康診断の結果に基づく措置が追加。
平成8年 産業医の選任要件を一定化。産業医の勧告権を明記。
平成17年 面接指導の実施及びその結果に基づく措置が追加。
平成27年 ストレスチェックの実施並びに面接指導実施、その結果に基づく措置が追加。

<参考>厚生労働省「産業医制度の変遷について」

多様化するビジネス

上記のような安衛法の遷移の中、我々の働く環境は大きく変わってきています。
労働安全衛生法が施行されたころは炭鉱業の労働者の安全面がクローズアップされていましたが、その後公害問題等を経て、現在はメンタル関連がメインとなっています。
ITが普及したことによりVDT等の問題がでてきたり、自宅でも仕事ができる環境が整備されたため労働時間の管理が複雑化していたりと働き方とその問題も変わってきています。
その中でみなさんの会社の産業医、ひいては産業保健の体制は現況に沿っているものとなっていますでしょうか?

産業医制度の在り方に関する検討会

昨年9月より、厚生労働省にて「産業医制度の在り方に関する検討会」が開催されております。
労働安全衛生法が制定された当時と現在では、産業構造や産業保健における主要課題が変わってきており、産業医に求められる役割が変化しています。
この検討会では法令の改正も踏まえたうえで行われています。

<検討会での意見の一例>
・ 月1回の職場巡視の意義がある職場とない職場がある。フレキシブルに行うべき。
・ 非製造業の場合、事業場単位でない産業医活動が必要。
・ 小規模事業場や産業保健スタッフが少ない地域等では遠隔での産業保健活動の可能性を検討するべき。
・ 有害業務のある事業場での産業医選任義務を50名⇒30名へ引き下げ。
<参考>厚生労働省「産業医制度の在り方に関する検討会」

今までの制度の枠に捉われない議論がなされているように見受けられます。
もしかしたら皆さんの会社の問題点も解決されるような法案が通るかもしれません。
1年6ヶ月にわたり検討会は実施される模様ですので、今後に注目です。

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杉井 将紘株式会社ドクタートラスト 常務取締役

投稿者プロフィール

IT企業に長年従事。その際の労働環境が整備されておらず、訴えても変わらない状況から健康管理会社のドクタートラストへ転職を決意。
畑違いの業界に戸惑いつつも、ITの力を駆使して産業保健業界に一石を投じるべく日々奮闘。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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