
冷たいものが歯にしみたり傷んだりする原因は?
現在、夏真っ只中。
夏と言えば、ビール・炭酸飲料・アイス・かき氷など冷たいものが美味しい季節だ。
しかしこの季節、虫歯はないのに冷たいものを食べると歯がキーンと傷んだり、
しみたりするという悩みを持っている人も少なくないのではないだろうか。
このように、せっかく夏に美味しい冷たいものを味わっているのに、
歯がしみたり傷んだりしてしまう原因は「知覚過敏」といわれる歯の疾患である。
知覚過敏で歯が痛む原因は
知覚過敏は、正式には『象牙質知覚過敏症』といわれる。
歯は、健康な状態ではエナメル質と歯茎に覆われ、冷たさなどの刺激から守られている。
しかし、歯周病の進行や、不適切なブラッシングなど何らかの原因で歯の表面を覆うエナメル質が削れてしまうと、歯の根元の部分にある多数の神経につながる「象牙質」が露出し、そこから直接神経に刺激がつたわってしまうためである。
知覚過敏のセルフチェック方法と虫歯との見分け方
冷たいものや甘いものを食べている時に、歯に違和感を感じ、
知覚過敏かなと思ったら、下記のうち当てはまるものがないか確認してみてほしい。
➀冷たいもしくは温かい飲み物・食べ物を口にしたときに歯がしみる
➁甘いものや酸っぱいものを口にしたときに歯がしみる
➂しみる痛みは飲んだり食べたりした後、10秒以内で治まる
➃歯肉が下がって歯の根元が露出している
➄歯磨きの際に、歯ブラシの毛先が当たるとしみる
➅歯ぎしり・歯の食いしばりをしている
➆冷たい風に当たったときに歯がしみる
上記のうち1つでも当てはまる症状があれば、知覚過敏の疑いありだ。
ただ、知覚過敏かと思っていたら、虫歯だったということは結構ある。
知覚過敏と虫歯見分ける一般的な違いが下記のとおりである。
上記のうちで気になる症状がある場合は、知覚過敏・虫歯に関わらず一度歯科受診されることをお勧めする。
知覚過敏の予防法とセルフケア
知覚過敏の原因として多いのは、
➀虫歯・歯周病予防のための強い力でのブラッシング
➁健康志向の高まりなどで、より摂取されるようになっている“酸”(黒酢や栄養ドリンク、
スポーツ飲料、ワイン、フルーツなど)の摂りすぎ
➂日常的に歯を無意識に噛みしめてしまう癖
そこで知覚過敏の予防法としては
➀力強い歯磨きを避ける
力強く磨くと汚れが落ちやすいように感じる。しかし、強い力でのブラッシングは汚れを一緒に落とすと同時に歯茎を痛めてしまい、知覚過敏へとつながる。
一番適している力は、歯ブラシを爪にあてた際にちょうど爪の色がピンクから白に変わる程度だといわれている。これは100g程度の弱い力ではあるが、この強さで1本1本を意識して小刻みに歯ブラシを動かすことによりきれいに歯を磨くことが出来る。
歯ブラシは、やわらかめ~普通の硬さでブラシの大きさが小さいものを選ぶと良い。
➁酸の摂りすぎを控える。
酸の食品を摂取する際は、摂取後水を飲むなど長時間口腔内が酸に晒されないようにすると良い。
➂歯をかみしめないように意識する。
夜間寝る際などはマウスピースなどの活用も効果的だ。
知覚過敏かもしれないと気付いた際には出来るだけ早く歯科受診をして頂きたい。
しかし、時間がとれず歯科受診が少し先になりそうな場合は、知覚過敏用の歯磨き粉が市販されているので、活用しての歯磨きをお勧めする。
歯を大切に
冷たい・熱いなどの刺激から歯に痛みやしびれを感じる知覚過敏は、その時々の体調などにより初期のうちは一時的なもののため、放置してしまうことが多い。
しかし、知覚過敏がひどくなると歯を磨く際に痛みを感じるようになってしまうため、虫歯が出来やすくなり、さらに知覚過敏も進行するという悪循環になってしまう危険性がある。
美味しく食事をするために重要な歯。日頃からの正しいブラッシングを行い、おかしいなと感じたら歯科受診をしていただくなど大切にしていただければと思う。
Copyright © 産業保健新聞|毎日健康で元気に働くための情報誌 All rights reserved.