風邪を引いたら風邪薬という思い込み

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医者が飲まない「風邪薬」

突然だが、医師や薬剤師など医療関係者が、自ら飲まない薬は何か、ご存知だろうか。正解は「風邪薬」である。
保健師である自分自身を振り返ってみても、総合感冒薬を購入することは滅多にない。発熱や頭痛が酷ければ解熱鎮痛薬、咳が酷ければトローチや咳止めを一時的に購入することはあるが、鼻水や鼻詰りではほとんど薬を買わない。
辛いと思う症状を、最小限の薬で抑えることを意識するからである。
もちろん、症状が我慢できない程酷かったり、39度を超える高熱があれば、医療機関を受診する。それが、回復への最短コースだと知っているからだ。

風邪薬の成分

市販の総合感冒薬=風邪薬の成分は何なのだろうか。
製品によって成分や配合がことなるが、多くが
・解熱鎮痛 
・鎮咳(咳止め)
・抗ヒスタミン(鼻水止め) 
・中枢神経興奮(咳止め) 
・交感神経興奮 といった作用を持つ成分が含まれている。

交換神経を興奮させる成分とは、無水カフェインだ。多くの風邪薬に無水カフェインが含まれている。これは、鼻水止めや咳止めの作用である「眠気」を抑えたり、血管を収縮させ頭痛を抑える目的がある。

これらの作用を確認すればわかるとおり、風邪薬には、ウイルスや細菌そのものに効果を及ぼす成分は含まれていない。風邪を治すのではなく、あくまで症状を抑えるための薬が風邪薬なのだ。

風邪薬が症状を長引かせる?

風邪薬そのものには、原因となるウイルスや細菌(多くがウイルス)を減らす効果はない。つまり、風邪薬を飲んだから・・・といつも通りの生活を送っていては、体からウイルスが排出されず、なかなか完治に至らないのだ。
症状が軽くなることで、却って無理をしてしまい、なかなか風邪が治らないという事態もありがちである。
更に、発熱や鼻水・咳はウイルスを死滅させ、体外へ排出させる大切な体の働きだ。やみくもに抑えてしまうことで治癒までの期間が長引いてしまう。

風邪に最も効果的な治療法

風邪に最も効果的な治療法は、最も地味に感じるかもしれないが、「安静」だ。
1.体をあたため(熱がなければ入浴も可)
2.たっぷり睡眠を取り
3.こまめに水分を摂る
という基本的なことが、体を回復させるための唯一の手段である。

仕事や学校、育児などでどうしても症状を一時的に抑えたい時に利用するのは構わないが、休日や症状が酷くない時には、すぐに風邪薬を飲むのではなく、自宅でしっかり休むのが何よりの治療になる。

産業保健師として企業の保健室に在室していると、風邪薬が欲しいという社員の方に多くお目にかかる。その際には、必ず「風邪薬はあくまでその場しのぎです。今日はなるべく早く帰宅して、水分を摂って、しっかり寝ましょう。そうしないとダラダラと長引きますよ。」とお伝えすることにしている。
仕事が忙しくてゆっくりなんて休めない!という方が多いのは重々承知しているが、それでも、自宅安静以外に風邪を早く完治させる手段はないのだ。

咳や頭痛・熱などでフラフラになったり、風邪薬の眠気で朦朧としながら仕事をするよりは、回復してから仕事を進めた方が、確実に高いパフォーマンスが出せる。そこを理解して、風邪薬も上手に目的・タイミングを選んで使って頂ければと思う。

中村 眞弓

中村 眞弓株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業での健康相談や産業保健の経験を生かし、「じっくり聴く・しっかり考える」保健師を目指しています。
社員の皆様・人事の皆様と一緒になって企業の健康を支えていけるよう頑張ります。

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