日本には300万人!?〜肝炎のはなし〜

説明をする医師

肝炎と聞くとどのようなことを思い浮かべるだろうか?注射針の使い回しや輸血、薬害によるものだから、現代ではもう関係のない話だと思う方もいるかもしれない。ところが、日本におけるウイルス性肝炎の持続感染者(慢性肝炎)は、B型で110〜140万人、C型で190〜230万人程度と推定されており、自覚症状がないことが多いため肝炎だと気付かないまま生活している人もいる。また、衛生環境の整っていない国への旅行や出張、日本国内であっても食べ物から感染する種類の肝炎ウイルスも存在しており、決して他人事ではないのだ。

 ウイルス性肝炎の種類

現在日本で主に存在しているウイルス性肝炎には以下の種類がある。

①A型肝炎…世界中に広く分布するA型肝炎ウイルスによるもの。先進国での発生は少ないが、上下水道の整備ができていない地域、衛生環境の悪い地域では蔓延している。ワクチンが存在するため予防することができる。急性の経過をたどり慢性化することはないが、完全に肝機能が回復するまで1〜2ヶ月かかることもある。

②B型肝炎…B型肝炎ウイルスによるもので、血液を介して感染するため、母子感染・注射針の使い回し・刺青・性行為などによって感染する。多くは急性の経過をたどって治癒するが、感染者の約5%で慢性化し慢性B型肝炎へと移行する。日本では集団予防接種において、昭和63年頃まで注射針・注射筒の使い回しをしていたため、B型肝炎ウイルスが蔓延し問題となっている。ワクチン接種により予防することができる(現時点では任意接種)

③C型肝炎…C型肝炎ウイルスによるもので、世界中ではなんと1億7000万人もの人がキャリアであるとされている。肝炎発症後治癒する場合もあるが、約70%は持続感染すなわち慢性C型肝炎へと移行する。

④E型肝炎…E型肝炎ウイルスによるもので、先進国では少ないものの東南アジアやインド、アフリカなどでは蔓延している。日本であっても豚レバーを初めとする豚肉の生食(先日豚レバーの生食は禁止が決定したばかりだ)などにより感染することがある。

慢性化する肝炎に注意

日本で見られるのは主に上記4種類の肝炎だが、特に気をつけなければならないのが、慢性化する可能性のある「B型肝炎」と「C型肝炎」だ。慢性肝炎へ移行してしまうと、その後肝硬変、肝臓がんへと進行していくケースが多い。B型肝炎に関しては、女性は妊娠時に血液検査で調べるためその時点でスクリーニングされるのだが、男性の場合は調べる機会がないまま過ごしてしまうことが多い。特に、注射針の使い回しが行われていた昭和63年以前に集団予防接種を受けたことがある人は一度調べてみると良いだろう。血液検査で簡単に調べることができ、自治体によっては一定の年齢で「肝炎健診」を実施しているところもあるようだ。B型・C型肝炎に対する治療は日々進歩しており、インターフェロンや抗ウイルス薬など新しい薬がどんどん開発され、治療成績も改善されている。現代において新たにかかることは少ない病気だが、その一方でB型・C型の慢性肝炎となり長年治療を続けたり苦しんでいる方が多い病気でもある。きちんと知識を持っていれば予防したり治療を受けられるため、他人事と思わず今一度見直してみてほしい。

田中 祥子

田中 祥子株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

企業の健康管理室で働いていた経験を様々なかたちで皆様にお届けしたいと思っています。

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