ノー残業で帰宅するために、企業と個人ができること

残業

ノー残業 おかげで明日は 超残業

第22回サラリーマン川柳にて第31位となった川柳である。
昨今、ノー残業デーが浸透し、水曜日の夜には普段よりも早い時間に、
たくさんのサラリーマンが居酒屋に消えていく姿を見かけるようになった。
しかし、現実は非情そのもの。残業をせざるを得ない現状があふれているように思われる。

どれほど残業は世にあふれているのか

Tech総研編集部が過去に行ったアンケートがある。エンジニア500人を対象に残業に対しての調査を行ったものだ。
サービス残業を行っているのは全体の65%。職種環境によって差はあると思われるが、月20時間のサービス残業が32%。月に20~40時間程度は17%。中には月に80時間以上という人が5%もいるという結果になった。
こうした現状には、様々な理由があげられる。

・みなし労働制によって、残業手当分すでに固定額とされている
・そもそも業務量が多く、帰ることができない
・残業代を申請しにくい雰囲気がある
・プロジェクトの採算が赤字になってしまう為、申請できない

また、他にも遅くまで働いていることが美徳とされ、帰ると白い眼で見られる等、社内風潮的に帰れないといった声なども聞かれる。
社内の社員たちは、「帰りたい」けれど「帰れない」のだ。

「女性は子供を産むと残業しなくなる」という批判

さらに、女性は子供ができると、子育ての為等で時短勤務を余儀なくされるケースが多い。
勿論それ以外でも介護等の事情で残業を行うことが難しくなることもあるが、育児中の女性をターゲットにした、いわゆるマタハラは後を堪えない。
つい先日のマタハラ訴訟の際にも、甘えている等の声は男女問わず多く聞かれ、残業をしないことへのバッシングの強さをうかがい知れる。
残業=頑張って仕事もしている。残業できない=頑張っていない、という根強い文化。

帰れない社員を作り、残れない社員を評価しないという風潮自体を根底から変えない限り、全社員が笑顔で過ごせるような職場を作っていくのは難しいのではないだろうか。
現在企業が目指すべきは、「残業せずに男女ともに育児をしながら働けるような環境」の整った姿であるべきではないか。
まるで絵空事のように聞こえるこの施策。実はこれを完成させた企業や実践している社員がいる。

ほとんど社員が17時までに帰る会社

とある企業では、化粧品を扱う会社という点からも女性が多く、従業員数41人(アルバイトも含む)のうち、女性が9割以上。さらに約半数にあたる19人がワーキングマザーという環境である。
しかしほとんどの社員は17時過ぎには退社。創業以来9年連続で業績は右肩上がりなのだという。

女性社員の中でもワーキングマザーの社員は、やはり残業ができない。他の社員に比べて働ける時間が短くなってしまう。そこでその差をなくすため、全社員の勤務時間をほぼ全員同一になるよう、17時に仕事が終わっていれば帰宅してよいというルールを作成。遅くても18時までには退社するというルールを徹底し、それによってワーキングマザーは早く帰らなくてはならないので働けない、と言われる状態を作らないようにした。
そのために行われた施策を一例として取り上げる。

(1)定期的な業務の棚卸と業務の選別
不要な会議、打ち合わせの削減等、業務の無駄を徹底的に追究した。

(2)ルーティンワークをアウトソーシング
時間がかかるデータ入力や資料作成等は積極的に外に出すことで、時間に余裕が生まれ、
社員自身にしか行えないクリエイティブな仕事を、よりたくさんこなすことができるようになった。

(3)わかりやすく差別化された商品の開発を行う
取り扱う商品をわかりやすくすることで、営業手法等もシンプルになり、社員の負担が減った。
どれも、小さな無駄をなくしていくような改革である。
しかし、徹底的に無駄を省いていった結果社員個人の負担が減り、より精力的に社員が働くようになったという。

イクメンであっても帰れる環境へ

また、別の会社のイクメンを例に出してみたい。
当初仕事と両立するのは困難に思われたが、核家族で2人の子どもを抱え、育児を手伝いたいという想いがとても強かった。
そこで、ある時会社に直接「育児を手伝いたい為、早く帰りたい」とストレートに伝えところ、会社はそれを了承。営業ノルマを変えないことを条件に、19時には家につけるような生活を手に入れることに成功した。
しかしそれは業務量が変わらないのにも関わらず、就業時間のみが短くなっているのと同義である。その男性は、前述の化粧品会社と同じく、どのように無駄を省くかを考えた結果、それを両立することができるようになった。

(1)空き時間でできることをさがす。
例えば営業先への移動時間等、効率的に時間を使うようになった。空いている時間にメールをチェック等を行い、
外出先でもメールでのやり取りを20件は行うという。

(2)働き方を工夫する。
定時に帰るという目標を持ったためにより効率的な仕事をするよう努めた。
上記の空き時間のメールもそうだが、少し早く出社して、一日の業務を整理してから業務に臨むようになった。

 

時間外労働削減の好事例集

これらはあくまで一例だが、会社として、個人として、どちらも残業しないことを成功させている例である。
どちらも定時に帰るという明確な目標のもと、業務の効率化を図ることで、業務量を変えないままに、定時で帰宅することに成功している。
しかし、それらは前提として「社員がストレスなく、家庭も会社も大切にできる環境を企業が推奨している」ことが条件となる。

企業として業績を上げるのはもちろん大切だが、残業代の削減。それもサービス残業ではなく、残業自体が発生しないような業務体制を作り上げること。
そうして効率化していくことで、さらに仕事量を増やしていくことができ、結果的に業績を上げていくことにもつながる。
アフター5が充実することで社員のストレスも減り、愛社精神も生まれ、モチベーションも上がってゆくだろう。

とはいえ、自身の会社でどのようにすべきか迷う人もいるかもしれない。
そんな時は、時間外労働削減の好事例集を厚生労働省が作成しているので、参考にしていただきたい。
改めて自分自身の会社の業務や体制を、見直してみてはいかがだろうか。

参考資料:時間外労働削減の好事例集
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/120703_01.pdf

佐々木 泉

佐々木 泉株式会社ドクタートラスト 経営企画部 広報課

投稿者プロフィール

企業の健康を考えるこの会社で、
皆様が心身共に元気に過ごせる日常をサポートいたします。
少しでも、皆さんの力になれたらうれしいです。

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