避難所生活と血栓

体育館

広島土砂災害―避難所住民に静脈血栓症、高率

深部静脈血栓症(以下、DVT)とは、血管を流れる血液の滞りにより、静脈に血のかたまり(血栓)ができる病態である。
発生頻度の高い部位としては、「ふくらはぎ」の静脈がもっとも多い。
「エコノミークラス症候群」というと、聞いたことのある方も多いのではないだろうか。

(●エコノミークラス症候群についてはこちら

さてこのDVT、実は、広島の土砂災害で避難所生活を送る被災者の、約1割に見つかったことが分かった。(9.8 朝日新聞デジタルより)
一般を対象とした場合の発生率は4%程度とされており、今回はその2倍以上の確率で見つかっているため異常な状態であるという。

2004年の新潟県中越地震の際には、車中泊をした避難者とDVTとの関連が報道され、注目を浴びた。
しかし、今回のニュースでもわかる通り、避難所生活を送っていても、窮屈な姿勢が強いられたり、活動量が低下し同一姿勢をとることが多い場合には、避難形態に関わらずDVTのリスクは高まることがうかがえる。

血栓症予防のために

DVTは、ふくらはぎの静脈に起こることが多いが、中にはその血栓が血管を流れて肺・心臓・脳に詰まってしまうことがある。
肺に詰まると肺塞栓症から呼吸困難となり、心臓・脳に詰まった場合は、それぞれ心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす恐れがある。

避難所では、パーソナルスペースや活動範囲が限られるため、普段活動的な生活を送っている方でも身体活動は低下してしまう。高齢の方であれば、なおさら著しい。
そうした環境下で血栓ができないようにするため、不便な避難生活においても、少ないスペースで効果的にできる予防法をお伝えする。

●弾性ストッキング(ソックス)の着用
⇒通常のストッキングに比べ、足の締め付けが強いもの。
「締め付けると血流が悪くなるのでは?」と思われるかもしれないが、ふくらはぎに溜まって停滞している血液を絞り出してくれる効果があるため、普段むくみが気になる方にもお勧めだ。
ただし、使用上の注意をよく読んで使用すること。

●適切な水分補給
⇒避難所では、トイレを控えようと、水分を摂ることを控えてしまう方が多い。
しかし、血液の濃縮は血栓をできやすくしてしまうため、我慢せずに水分補給をしてほしい。

●毛布や布団は、必要のない時はたたみ、身の回りの整理整頓を
⇒決まった生活動作を取り入れ、少しでも運動量を増やす工夫を。
また、布団を敷きっぱなしでは、どうしてもその場で休んでしまいがちになる。
座るだけであれば布団はたたみ、座布団に切り替える、毛布だけにするなど、メリハリをつけることも活動性の低下予防となる。

●衣服はゆったりめに
⇒ゴムのきつい服、タイトな服は、余計な圧迫となる。狭い空間で同一姿勢を余儀なくされる場合は、極力からだにストレスのかからない、ゆったりめの衣服を選ぶこと。

●こまめに伸び、歩行、足首の上下運動
⇒足が重だるい、むくんでいる、と感じたら、血液が滞っているサイン。
こうした自覚症状が出てくる前に、こまめに運動を取り入れよう。

林 晴香

林 晴香株式会社ドクタートラスト 産業保健部 保健師

投稿者プロフィール

DT保健師の林です。
産業保健分野に限らず、健康に関するお役立ち情報を配信できればと思っております。

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